はじめに
案件を受けて記事を納品したら、修正依頼が返ってきた。
内容は間違っていないのに、「この表現は使えません」と言われた。
副業ライティングを続けていると、わりと早い段階でこの場面に出会います。
原因の多くは、薬機法と景品表示法です。
美容・健康・食品・ダイエット、それに「効果」「実績」を語るジャンルは、
言い回し一つで法令違反になり得ます。
知らずに書くと、修正の往復が増えて時間単価が落ち、
最悪の場合はクライアントに実害を出します。
逆に言えば、ここを押さえているライターは重宝されます。
「法令チェックまでやってくれる人」は、単価交渉でも強い材料になります。
この記事では、副業ライターが最低限知っておくべき2つの法律について、
実際にどんな表現がNGで、どう書き換えるかに絞って解説します。
この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。
判断に迷う表現は、必ずクライアントや専門家に確認してください。
法令やガイドラインは改正されるため、最新の内容は消費者庁・厚生労働省の公式情報でご確認ください。
1. 薬機法(旧・薬事法)
どんな法律か
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの品質と広告を規制する法律です。
ライターに関係するのは、ほぼ広告表現の部分です。
ポイントは一つで、医薬品ではないものを、医薬品のように書いてはいけないということ。
化粧品・健康食品・サプリメントは医薬品ではありません。
したがって「治る」「効く」と書けません。
よくあるNG表現と言い換え
| ❌ NGになりやすい表現 | ⭕ 言い換えの方向 |
|---|---|
| ニキビが治る | 肌を整える/うるおいを与える |
| シミが消える | メイクで目立ちにくくする |
| 痩せる/脂肪が燃える | 体型管理をサポートする(※健康食品では効果を断定しない) |
| 免疫力が上がる | 健康的な毎日を心がける方に |
| 便秘が改善する | すっきりした毎日をサポート |
| アトピーに効く | (疾患名を出さない) |
| 白髪が黒くなる | 髪にハリ・コシを与える |
ポイントは、「体の変化を断定していないか」です。
「治る」「消える」「改善する」「効く」は、
医薬品にしか使えない表現だと覚えておくと判断しやすくなります。
化粧品には「言っていい範囲」が決まっている
化粧品については、効能効果として認められている表現の範囲が定められています。
「肌にうるおいを与える」「肌を整える」などがこれにあたります。
クライアントから表現集を渡されることもありますが、
渡されない場合は「化粧品 効能効果 範囲」で公的情報を確認するか、
確認が取れない表現は使わないほうが安全です。
体験談なら書いていいのか
「個人の感想です」と添えれば何を書いてもいい、という誤解がありますが、違います。
体験談であっても、それが商品の効果を示す表現として機能していれば規制の対象になります。
「飲んだら3日で5kg痩せました(個人の感想です)」は、注記があってもNGです。
2. 景品表示法(景表法)
どんな法律か
消費者に誤認させる表示を禁止する法律です。
薬機法が「ジャンル限定」なのに対し、景表法はすべての商品・サービスが対象です。
つまり、美容・健康に関わらない案件でも関係します。
規制の柱は2つです。
優良誤認:実際より著しく優れていると見せる表示
- 根拠のない「業界No.1」「日本一」
- 「利用者の98%が満足」(調査の実体がない、または条件が不明)
- 「他社より圧倒的に高性能」(比較の根拠がない)
「No.1」「最高」「唯一」は、客観的な調査の裏付けがなければ書けません。
書く場合は、調査主体・調査期間・調査対象を併記できるかを確認します。
確認が取れないなら、その表現は使わない。これが安全です。
有利誤認:取引条件を実際より有利に見せる表示
- 「通常価格10,000円 → 今だけ5,000円」(10,000円で売った実績がない)
- 「今だけ」「本日限り」(実際にはずっと同じ条件)
- 「送料無料」(実際は条件付き)
二重価格表示はとくに問題になりやすいところです。
比較対象の価格が実際に販売されていた価格でなければ、有利誤認になります。
ステマ規制(2023年10月〜)
見落とされがちですが、広告なのに広告と分からない表示は景表法違反です。
事業者から依頼・報酬を受けて書いた記事は、
「PR」「広告」「提供」などの表記が必要になります。
自分のブログでアフィリエイトをしている場合も無関係ではありません。
広告であることが読者に分かる状態にしておく必要があります。
案件で困らないための実務
受注前に確認しておくこと
美容・健康・金融・法律ジャンルの案件を受けるときは、
着手前に次を確認しておくと修正の往復が減ります。
- 表現ガイドライン(NGワード集)はあるか
- 薬機法チェックは誰が行うか(クライアント側かライター側か)
- 「効果」に触れてよい範囲はどこまでか
ガイドラインがある案件は、むしろ楽です。
何も渡されない案件のほうが、判断を自分で負うことになります。
迷ったときの原則
断定を避ける。主語を商品から人に移す。
これだけで、かなりの表現が安全側に寄ります。
❌ このサプリを飲むと疲れが取れます
⭕ 忙しい毎日を送る方の健康習慣として選ばれています
前者は商品の効果を断定していますが、
後者は「どんな人が選んでいるか」を述べているだけです。
分からない表現は、確認して残す
いちばんまずいのは、分からないまま自己判断で書いて納品することです。
判断がつかない表現があったら、納品時にこう添えます。
○○の箇所は薬機法に抵触する可能性があると判断し、
「△△」という表現に変更しています。
元の訴求を優先される場合はお知らせください。
これができるライターは、クライアントから見て安心感がまったく違います。
この知識は、単価に直結する
薬機法・景表法の知識が必要なジャンルは、そもそも単価が高い傾向にあります。
書ける人が限られるからです。
美容・健康ジャンルで法令を踏まえて書けるライターは、
文字単価2円以上のレンジで案件を探せるようになります。
ただし、この領域は独学だと「何を知らないか分からない」状態になりやすいのも事実です。
NGワードを暗記するより、なぜその表現が問題なのかを構造で理解しているほうが、
初見の案件でも判断できます。
体系的に押さえたい場合は、
未経験から3ヶ月でプロライターの思考力を習得
のようなライター向け講座で、
表現の判断基準ごと学んでしまうのも一つの手です。
案件をこなしながら都度調べる進め方でも身につきますが、時間はかかります。
単価を上げる進め方については
副業ライティングの文字単価を上げる5つの方法
と
文字単価の交渉のコツ|そのまま使える単価交渉の例文テンプレート集
で扱っています。
また、AIに書かせた原稿をそのまま納品すると、
AIは平気で「効果があります」と書いてしまうため、この観点でのチェックは必須です。
関連して
AIで記事を書くときに気をつけるべき著作権・ルールの基本
もあわせて確認しておくと、法務面の穴が減ります。
まとめ
- 薬機法:化粧品・健康食品を医薬品のように書かない。「治る」「消える」「効く」は使えない
- 体験談でも、効果を示す表現として機能していれば規制対象。「個人の感想です」では回避できない
- 景表法:全ジャンルが対象。根拠のない「No.1」、実績のない二重価格、広告と分からない広告がNG
- 迷ったら断定を避け、主語を商品から人に移す
- 分からない表現は自己判断せず、変更理由を添えて納品する
- この知識があるジャンルは単価が高い。覚えるほど得をする領域
法律と聞くと身構えますが、実務で必要なのは
「断定しない」「根拠のない最上級を使わない」の2つがほとんどです。
繰り返しになりますが、この記事は一般的な情報提供です。
具体的な案件での判断は、クライアントや専門家にご確認ください。

