はじめに
取材と聞くと相手先へ訪問する場面を思い浮かべますが、
いまはオンライン取材が主流です。移動時間がなく、全国の相手に取材できるため、
副業で取材案件を受けるならむしろオンラインのほうが現実的です。
インタビュー・取材記事の書き方
では取材記事全体の流れを扱いました。この記事はその中の
「オンラインで実施するときの段取りと、録音・文字起こしの実務」だけを扱います。
対面取材のハードルが高いと感じている方は、オンライン取材から始めるのが近道です。
本業がある副業ライターにとっても、移動が不要な点は大きな利点です。
事前準備(前日までにやること)
接続の確認
- 使うツール(Zoom/Google Meet/Teams)を相手に合わせる
- URLは誰が発行するかを決めておく
- カメラ・マイク・イヤホンを実際に動かして確認する
イヤホンは必須です。スピーカーだと自分の声が相手側に回り込み、
録音に重なって文字起こしの精度が落ちます。
録音の準備(二重で用意する)
ここが実務上いちばん重要です。
- ツールの録画・録音機能(Zoomのレコーディング等)
- スマホの録音アプリ(バックアップ)
録音は必ず二重にします。 通信が切れた、保存に失敗した、
容量が足りなかった——これらは実際に起こります。
録り直しは依頼できないので、ここは手間を惜しまないところです。
録音の許可を取る
無断録音はしません。 取材開始時に、口頭で明確に許可を取ります。
記事作成のため、録音させていただいてもよろしいでしょうか。
録音データは記事化のみに使用し、公開はいたしません。
依頼メールの段階で確認しておくとスムーズです
(取材依頼メールの書き方参照)。
質問リストを手元に置く
画面共有ではなく、手元の紙か別ウィンドウに置きます。
質問の作り方は
取材の質問リストの作り方
にまとめています。
当日の進め方
5分前に入室する
接続トラブルの余裕を作ります。相手を待たせないことが第一印象になります。
最初の3分で場を整える
- 挨拶と自己紹介(簡潔に)
- 録音の許可を取る
- 所要時間の確認(「◯時までで大丈夫でしょうか」)
- 今日聞きたいことの柱を共有(「本日は3点伺います」)
この3分があるかないかで、その後の答えの質が変わります。
オンライン特有の注意点
相槌を言葉で入れる。
対面ならうなずきで伝わりますが、オンラインでは伝わりにくいです。
「はい」「なるほど」と声に出すことで、相手は話しやすくなります。
話をかぶせない。
通信の遅延があるため、相手の話が終わってから一拍おいて話します。
かぶると、どちらの声も聞き取れなくなり、録音も使えなくなります。
沈黙を待つ。
相手が考えている間に次の質問を入れないこと。
オンラインだと沈黙が長く感じますが、そのあとに本音が出ます。
メモは最小限にする。
録音があるので、キーワードと「ここは使える」という印だけ残します。
タイピング音が入るので、可能なら紙にメモします。
終わりに確認すること
- 公開してよい範囲(数字・社名・個人名)
- 写真の有無(必要なら送ってもらう依頼)
- 原稿の確認をするか、いつまでに返せるか
ここを曖昧にすると、後工程で手戻りします。
文字起こしの実務
全文起こしは必要か
必要ありません。 60分の取材を全文起こすと数時間かかり、
副業の時間では現実的ではありません。
実務的なやり方はこうです。
- 音声認識ツールで粗起こしする(精度は7〜8割で十分)
- 聞き取れていない箇所・重要な発言だけ、音声を聞き直して直す
- 使う部分にだけ印をつける
音声認識ツールの使い方
スマホの音声入力やツールの自動文字起こし機能で足ります。
音声入力そのものの活用法は
音声入力×AIで執筆を時短する方法
にまとめています。
精度を上げるコツは録音の質です。
イヤホンマイクを使い、静かな環境で録ることが、
後工程の時間を最も短縮します。
AIに任せてよい範囲・いけない範囲
AIは粗起こしの整形(「えーと」の削除、文の区切り)には有効です。
ただし発言の要約をAIに任せるのは危険です。
AIは「それらしくまとめる」のが得意なぶん、
微妙にニュアンスを変えてしまうことがあります。
取材記事では、それは発言の改変になります。
AIとの工程分担は
AIを使った取材記事作成|工程ごとの分担
で詳しく扱います。
録音データの扱い
- 記事化が終わったら削除する(いつまで保持するか決めておく)
- クラウドに置く場合は共有設定を確認する
- 相手から「録音は残さないでほしい」と言われたら従う
守秘義務の考え方は
著作権譲渡・秘密保持契約(NDA)の基本
も参照してください。取材で知った未公開情報は、NDAの対象になることがあります。
まとめ
- 取材はオンラインが主流。副業ライターには移動不要の利点が大きい
- イヤホンは必須(スピーカーだと音が回り込み文字起こしの精度が落ちる)
- 録音は必ず二重(ツール+スマホ)。録り直しは依頼できない
- 無断録音はしない。 開始時に口頭で許可を取る
- 最初の3分で録音許可・所要時間・今日の柱を整える
- オンライン特有の作法: 相槌を声に出す/話をかぶせない/沈黙を待つ
- 文字起こしは全文不要。粗起こし→必要箇所だけ聞き直す
- 発言の要約をAIに任せない(ニュアンスが変わる=発言の改変になる)
- 録音データは記事化後に削除する
オンライン取材は、段取りを一度作れば毎回同じ手順で回せます。
最初の1件を終えれば、2件目からは準備時間が半分になります。

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